日本語ボランティアレベルアップ研修 記録 4
模擬授業「地震が起きたらどうするの?」
2009年1月18日
■ 発表者
たちばな倶楽部:植松さん、金井さん、三露さん、
学習者:留学生5名(強い地震を経験していない方々)のみなさん
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■ 学習者について
日本語のレベルは中級から上級。
日常のコミュニケーションで、言葉が通じない、わからない、といったことは少ない。
通じない、わからない、また聞き取れなかった場合は、別の言葉で言い直す、あるいは聞き返すなどして、対処できる。
なお、今回の授業で取り上げる語句については、事前に確認しており、意味・使い方ともに十分理解できているものとする。
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■ 地震についての知識
今回の学習者である留学生も含め、京都橘大学の留学生の大半が、地震は体験したことがないか、弱い地震は体験したことがある。強い地震はイメージしにくいようである。
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■ 授業について
生活していく中で、大小さまざまなトラブルがある。
外国人がトラブルと直面したとき、その解決に向けて日本人が支援することは重要だ。
しかし、いつもボランティアなど周りの親しい日本人が支援できるとは限らない。
その一つが「地震」である。
大きな地震によって支援者も被災すると、支援が難しい。
この授業をとおして、支援者によるサポートが受けられないときでも、学習者が自力でトラブルに対応し、周りの人の助けを得ることができるようにしたい。
● 授業時間:50分
● 授業の構成について
授業は、導入とまとめを除いて、大きく3つの部分からなっている。
積み上げ型ではなく、途中参加でも支障がないように、それぞれの部分が独立したようになっている。
これは、たちばな倶楽部の学習者が教室に来る時間に差があることを考慮したものである。
■ 授業の目標
● 授業の目標地震が起きたとき、あわてずに適切な行動ができる。
● 避難所に行くことができる。
● 避難所で分からないことがあった時、人に聞くことが出来る。
授業の展開
時間 | 活動 | 手順、教師及び学習者の行為 | 教材/教具 | 注意点 |
5 | 導入 |
みなさん「地震」体験したこと (あったこと)はありますか? |
カード「地震」 | |
15 | 展開A |
【地震の頻度】 ・身体に感じないものを含め 1年間10万回近く ・身体に感じるものだけで 1年間2000回強 【震度の説明】 (プリントを読む、順に指名) 【地震の映像】 |
カード「震度」 プリント DVD(約7分) |
計算して実感 しやすいように →1年間10万回 =5~6分に1回 読み間違いが あれば、訂正 映像を見る前に「白地図」で場所を示す |
25 | 展開B |
【地震発生から避難まで】 |
絵カード | 5分程度 |
45 | 展開C |
【ロールプレイ】 ※写真2
(ポイントを挙げる) |
プリント 実際の掲示 |
実際に掲示を見せる でき具合をみて必要であれば5分程度 目立った語句/文法の誤りがあれば、その場で指摘する キーワードを板書する 一番いい答えを選ぶのではなく、一人ずつで考えたものを元にグループ全体で考える 目立った語句/文法の誤りがあれば、その場で指摘する ※時間がなければ 一人で考えて書く ↓ グループで考える ↓ 発表 ↓ フィードバック |
50 | まとめ |
【もし地震が起こったら】 ・あわてずに落ち着いて行動 ・周りの人と協力する ・わからないことや、おかしいな、変だな、と思ったら、周りの人に聞く。自分で勝手に判断して行動しない。 |
地震の震度について、そのレベルを知る。
1 展開A
資料を参考に、地震の揺れの強さ、大きさについて、読む。
2 展開B
20008年6月の岩手県沿岸北部の東北地方の地震(震度6弱~6強)のニュースを見て、震度とその被害の様子を知る。そのあと、感想を聞く
3 展開C
地震発生から避難所へ行くまでを、絵カードを並べ替えて、知る。
揺れのある時、大きなテーブルなどの下に隠れる。
ガス、電気を切る。
出口を確保。
階段を使う。エレベータに乗る時は、すべての階を押して出易い所からでること!
質問
エレベータでどの階でも止まらなかったら→非常ボタンを押すこと!
逃げる時は、走らないで、歩くこと!
メモを残す(建物を出る時)こと!
避難所を確認しておくこと!
4 まとめ
広域避難場所にメモがはってある。その内容が分からない時、日本人にどうやってきけばいいか。
各自聞く内容を考える。
食べ物、飲み物は?→ 避難所に準備してあることもあるが、普段から自分で準備しておくことが必要。
避難所生活はどのくらいの期間する必要があるか→地震の程度による。
ペットはどうしたらいいか。→ 建物の外に、また役所の人に相談すること。
ロールプレイフィードバック
大きい地震(じしん)がありました。近(ちか)くの避難所(ひなんじょ)に行きました。紙(かみ)がはってあります。何(なに)が書(か)いてあるのかよくわかりません。近くに日本人がいます。聞いてください。 |
◆以下は、たちばな倶楽部で実際に授業したときの答えです。
A. これは何と書いていますか?
今、何をするのがいいですか?
B. すみません。何と書いてありますか?
C. 何が書いてあるかよくわからないのですが・・・・
D. すみません、外国人ですけど、あのー、これは何ですか?
E. すみません、私は日本人じゃないです。
この紙に書いてあることが、よくわからないのですが、
教えていただけませんか?
F. すみません。私は日本人じゃない。
何が書いてあるか、わからない。教えてもらっていいですか?
◆発表した後、以下のようなフィードバックをしました。
Aさん、何と書いてあるのか、これを読んで何をしたらいいのか、はっきり聞いていますね。
Bさん、Dさん、Eさん、Fさん、「すみません」と最初に声をかけています。
Cさん、「よくわからないのですが・・・・」、Eさん「教えていただけませんか?」、とても丁寧ですね。
Dさん、Eさん、Fさん、「外国人です」「日本人じゃないです」と言っていますね。
1 上記のように、たちばな倶楽部で、実際授業で行ったフィードバックを紹介した。
2 その後、参加者に「自分ならどのようなアドバイスをするか」を聞いた。
以下がその時に出た意見である。
●キーワードは「私は外国人です。助けてください」だと思う。
●「すみません。教えてください。ここには何が書いてあるのですか」と言って、大まかな内容を聞く。
●日本人側としては、「書いてあるのが読めるのか、読めないのか」について、具体的に一つひとつ聞くことが大切ではないかと思う。
●日本語がわからない人は、簡単な言葉で、教えてほしいことを。また、今、一体何をすればいいかについて、具体的な事を聞くことが大切さと思う。
●レベルによるが、日本人自身がパニックになっているので、あまり丁寧な言葉を聞くと、
日本人に助けてほしいということが、伝わらないと思う。なので、たどたどしく言うほうがいいのではないだろうかと思う。
●「私は~人です(例:私は中国人です)。」などといってしまうほうが通訳などを紹介してくれる可能性もあるので、いいのではないかと思う。
●非常時は日本語が分からない、文字も読めないということを伝える必要があると思う。
●緊急時には「一声(ひとこえ)」が大切。日本人に、まず一言(ひとこと)言う、そして、その日本人の反応がなんらかあると思うので、まずこの一声を誰か日本人にかけることが大事ではないかと思う。
●ここまで話せない人がどうしたらいいのかという問題なので、どこの国から来たということをまず伝えるべきであると思う。
●「私日本人ではない。助けてほしい」と大きな声で、周囲に伝える。また体で表現することも大切だと思う。
最後に「たちばな倶楽部」への質疑応答
*授業の形態はいつもどうか? ・・・
ボランテイアの教室はマンツーマンで,課題、論文の手伝いなどをしている。
今回はこの研修のために行った。今回の発表を機に、このような災害を取り上げた。
*留学生は、避難場所は知っているか・・・・
広域避難場所を想定したのだが、広域避難所よりまずは避難所を外国人に知らせておく必要があると、思った。
ph